《アメコミ・ジャーナル(第3回)》『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』ネタバレ感想
アメコミ映画の概念を壊した、笑える!泣ける!興奮する!DCEU最強の傑作!!
あらゆるビッグバジェット系映画やアメコミ作品の公開が決まっていく中、ここ2年くらいの私の1番楽しみな映画は揺るがなかった…。それが『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』だった。
私はIMAX先行試写会で観ることができたので、公開前の7月下旬に観てきました!
先に感想を言ってしまえば、期待を超えた最高傑作!!
特に私が気に入った5つのポイントについて、ネタバレ ゴリゴリで語っていきます!!
1.キャラクター達の描き方が最高っ‼︎
クセのある負け犬ヴィランばかりを集めた今作は、正直、奇人変人の巣窟。
メインを張るチームBのメンツだけを見ても、平和の為なら絶対殺すマンのブリーフマッチョのピースメーカー、どこでも寝るゆとり世代なラットキャッチャーⅡ、母親の幻影に取り憑かれた水玉陰キャのポルカドットマン、愛くるしい殺人マシン キングシャーク、そして、イケてるツッコミ役のブラッドスポート。
でもそれぞれが悩みを抱えてたり、支え合うようになったりと、ドラマ性がしっかりあって、その中でのキャラのやりとりが非常に心打ちました。
個人的にラットキャッチャーⅡとキングシャークの2人の関係に惹かれました。
ラットキャッチャーⅡは、割と物おじしない性格で、凄腕暗殺者や水玉模様のオジサンにも心を開き、彼らも彼女に心を開いていました。
中でも彼女との関係が色濃く映ったのがキングシャークことナナウエ。化け物扱いを受け、友達なんていなかったナナウエが、彼女の「友達も食べるの?」って言葉を機に、彼が“トモダチ”を意識し始めて、カラフルな海中生物と戯れたりして、裏切られて、ラストにはラットキャッチャーⅡと抱き合う姿!!もうナミダ必死です!!
他にもチームAの面々もわずか20分もない(下手したら10分くらい…)の登場にも関わらず、みんな相当なインパクトを残してました。
それぞれのキャラを登場早々に殺すのだから、ガン監督も花を持たせる気持ちで死亡シーンを描いていました。
特にT.D.K最高でしたネ。
私は前作の『スーサイド・スクワッド』(2016年公開)からブーマーことキャプテン・ブーメランが大大大好きなので、正直彼がこのメンツに並んでるのを知った瞬間から「絶対死ぬやん…」って思っていただけあって、わずか数分の登場で、華麗なブーメランさばきで兵士を切り殺し、ハーレイとの仲良しさが見れたので大満足でした。(悲しいけど…泣)
『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』(2014年公開)で負け犬集団が銀河を守る姿を描いていたのと同様、一見ヘンな奴らが力を合わせて争う姿は胸熱。さすがガン監督w
クセの強いキャラ達の中でもカッコ良さとクレイジーさが輝いていたブラッドスポートとピースメーカー《画像:“DC展 ヒーローの誕生”の展示》
2.B級臭いストーリーが最高っ‼︎
この映画の魅力はキャラクターだけではなく、やはりストーリーも。
目まぐるしい展開は多いものの、良い意味で「この映画長いなぁ」と感じさせられました。
というのも、今作はいろんなジャンル映画の要素がモリモリだからだと思います。序盤の海岸戦のシーンは、まさに戦争映画。監督も『プライベート・ライアン』をイメージしたと言ってました。
中盤のシンカーを誘拐するまでの流れはスパイもの。
そして、中盤のハーレイのパートはコミカルなシンデレラ・ストーリー(?)からの華やかな虐殺シーン。ラストは特撮ヒーローもののような怪獣バトル。ガン監督がやりたかったいろんな要素を詰め込んだのがすごい顕著でした。
特にガン監督が大好きだという70年代の戦争もの、ケイパーもの(チーム強奪系)の要素が色濃くストーリーなら反映されていた印象です。それらの要素が最大限に活かせるアメコミの題材なら、“スーサイド・スクワッド”がベストなのは今作を見れば言うまでもないだろう。
パンフレットに使われているこのビジュアルのB級感も素晴らしい。《画像:本作のパンフレット》
3.コメディポイントが最高っ‼︎
前述の通り、それぞれのキャラクターの掛け合いの面白さが今作の大きな魅力なのですが、馬鹿馬鹿しさが大半を占めていました。
序盤に野営をしているチームBのメンツ。キングシャークによる“ラットキャッチャーⅡ食事未遂事件”で目を覚ました面々のなかで、ブリーフ一丁のマッチョなピースメーカーがいるのがとてもシュールでした。マッチョっているだけで面白いんだよなぁ、と改めて実感。
他にもブラッドスポートとピースメーカーの愉快に殺人技を見せつけ合うシーン、バスの運転手ミルトンを巡る討論など、上げればキリがないっ!!
元々、コミックスでイジリの対象になるキャラが多いので、そこらへんもガン監督が最大限に面白く出来るメンバーを集めてることが分かります。
数あるDCヴィランの中から、本作の14人を選んだガン監督の物好き加減たるや《画像:コミックス“the Suicide Squad Case Files 1&2”》
4.前作との繋がりポイントが最高っ!!
今作は、2016年に公開したデヴィッド・エアー監督の『スーサイド・スクワッド』(以降、エアー版)との繋がりは公言していない。
もっと言えば、他のDCEU作品との繋がりをあえて排除して作っている。
それは、MCUに対抗して他作品との繋がりを意識し過ぎた初期DCEU作品群からの反省で、初見さんが見やすくするための戦略です。
ですが、エアー版を観ている人たちのためにしっかりとエアー版の出来事を匂わせるセリフや掛け合いが用意されていたのです。
例えば、ハーレイがミッションに出る為、ヘリに乗り込むシーンで、エアー版でチームメンバーだったキャプテン・ブーメラン(以降、ブーマー)と親しげにあだ名で呼び合うシーンがあったり、ハーレイが捕まっていた場所から脱走し、彼女を救出に来たフラッグ大佐と再会するシーンで半泣きで大佐とハグをして再会を噛み締めたり。
ハーレイを中心に、エアー版とは限らないものの、同じような出来事があり、3人が旧知の仲であることが知れるシーンが満載でした。
特に涙を誘ったのは、ラストの戦い後、生き残ったブラッドスポートとハーレイがフラッグ大佐について語るシーン。ハーレイがフラッグ大佐に対して、“昔からの仲”であると明言していて、エアー版でいがみ合っていた2人の関係性が変わっていたことが描かれていました。
もうここでエアー版を観に行った数年前の記憶が思い出され、泣きそうになりました。
こういうところに、エアー版を駄作などと言って切り捨てたりしないガン監督なりのエアー版を観た人へのファンサービス、いや映画ファンだからこその前作を無駄にしない精神の現れだと思っています!
ハーレイと前作組のフラッグ大佐、ブーマーの関係がちゃんと描いてくれて嬉しい泣《画像:“プライム1スタジオ ギャラリーショップ”》
5.今後のDCEUのことを考えると…もう最高っ‼︎
確かに他作品との繋がりを敢えて削ぎ落とした今作ですが、既にスピンオフドラマ『ピースメーカー』が決まっているわけで。
今作をキーに、今後実は他のキャラクターの登場やストーリーを描いてくれるのでは?という要素が伺えました。
例えば、マイケル・ルーカー演じる凄腕の自警団サバントは、コミックでは“バーズ・オブ・プレイ”というヒロインチームと関係があるキャラです。このチームの1人であるブラックキャナリーは、ドラマ化が決まっています。
彼女のドラマにサバントとの関わりが示唆されるシーンなどがあっても良いのでは…?などなど。
また、今作はDCEU作品で初めてR15で公開し、MCUでは手を出さないような作風でヒーロー映画の壁をぶち壊してくれました。
DCEU作品があらゆるジャンルにトライできる風穴を空ける役割を担ったことは明確ですし、今後そういった作品が作られていくと思います。そう考えるとコミックから実写化されそうなキャラたちはいっぱいいるので、とてもワクワクしてきます‼︎
DCらしさを発揮していってほしいっ!!
フラッシュとブーマーファンとして、この2人の再共演を楽しみにしてます!!《画像:funko POP!》
だいぶ熱量に物を言わせてつらつら書きました。まぁ、色々書いてきましたが、結局のところ私にとって今作が大好きになりました。
今作が好きだからこそ、今のところ続編は作って欲しくないかなぁ…。
あと、ハーレイとキャプテン・ブーメランについては、もっと色々と書きたかったことがあったのですが、物量が凄くなりそうなので、また別の機会に書こうと思います。
以上、駄話でした。