《映画駄話(第3回)》ポストクレジットにまつわる小話
映画のポストクレジットは、時として、初見さんに優しくない。
シリーズものを前提として制作された映画の最後には、“ポストクレジット”という、次回作の予告や今後の展望を予期させるクリフハンガー的なシーンが挿入されることがある。
マーベル映画、いわゆるMCUがこの手法を毎度取るようになったことから、近年のビッグバジェット映画などでは多く散見される。
しかし、ポストクレジットは、時として初見さんには優しくないことがある。アメコミなどの原作があるものでは、映画初登場だけど原作では有名なキャラが唐突に出たりする、分かる人にはわかりますよっというようなシーンだ。
今回はワタシが遭遇した“ポストクレジット”にまつわる小話を3つほど紹介したい。
ちなみに、各映画のポストクレジットについて言及するため、物語の核心に触れるようなネタバレもあります。以下、作品のネタバレに注意です…。
1.X-MEN : フューチャー&パスト(2014年公開)
2000年からはじまったX-MENシリーズは3作目『X-MEN : ファイナル・ディシジョン』(以降FD)で1度(無理矢理のように)終わらされてしまった。
それからも人気キャラ ウルヴァリンの単独作などを公開し、遂に2011年にメインシリーズでは老人である良い者のリーダー プロフェッサーXや悪者のリーダー マグニートたちの壮絶でダイナミックな過去が描かれた『X-MEN : ファースト・ジェネレーション』(以降FG)が公開され、人気を取り戻した。
そして、メインシリーズ(1,2,FD)と過去(FG)を繋ぐ作品として、『X-MEN : フューチャー&パスト』(以降F&P)が公開された。超能力を持つ人類ミュータントが排除されるディストピアとなった未来を変えるため、ウルヴァリンがFGの数年後の時代に行き、過去を冒険する話。
ウルヴァリンが若きプロフェッサーXたちと共演している絵面が観れるだけでファンは歓喜したものだが、この映画自体が初見さんにはだいぶ難しかったのではないだろうか。
未来と過去の話が入り混じり、キャラの関係もだいぶ複雑。しかし、問題はエンドロール後のポストクレジットにあった…。
今作のポストクレジットは、次回作『X-MEN : アポカリプス』に繋がるシーンになっていて、エジプトで生まれた世界最古のミュータントで、メインの敵となるアポカリプスが、その能力でピラミッドを建てているものだった。
アポカリプスは見た目が青い肌で、コミックでも青い肌をしており、X-MENでエジプトと言えば!といえるキャラなので、アメコミファンには、アポちゃん出るのかぁ…と言った感想が出る。
とある友人がF&Pを鑑賞し、ワタシに質問をしてきた。
友「X-MENの新作面白かった」
私「ラストとかアツいよね」
友「ラストのアレ、誰だったの」
友「それは分かってる!」
私「あ、そうよね笑」
友「エンドロールの後のあれ…
なんで砂漠にアバター出てきたの?」
私「…。」
確かに青い肌だしアバターって言われてもしょうがないよな、説明ないし笑
…と心の中で思ってしまった。アメコミを知らない人には伝わらない。
ワタシは彼に簡単にアポカリプスについて説明をしたが、彼がイマイチ納得していない顔をしていたのを今も覚えている。
2.ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー : リミックス(2017年公開)
※『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』のネタバレにも注意!!
この映画のポストクレジットも分からない人には分からないっ!
MCUでは節目となるラスボス サノスへの戦いに向かっていく中、その作品群の中でも一番サノスに近いチームが『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』(以降GotG)だった。今作のポストクレジットは、今作の敵の1人が打倒GotGのために“アダム”と呼ばれる存在を生み出すシーンだった。唐突でいかにも今後 GotGメンバーを倒すキャラクターになりそうな雰囲気だった。
原作コミックでもアダムは存在している。"アダム・ウォーロック"という名前で、科学者組織によって作られた地球侵略のために人造人間でしたが、脱走しヒーローサイドの存在になるキャラクターです。悪の目的で作られた人造人間である、という点で映画版と同じですね。彼のコミックのオリジンからして、敵サイドを裏切ってGotGに合流するなどの展開も今後あるかもです…。
そして原作のアダムを語る上で欠かせない話というのが、彼が映画『インフィニティ・ウォー』(以降IW)の原作となった『インフィニティ・ガントレット』においてヒーローサイドの対サノスの切り札となっているということです。『GotG:リミックス』のポストクレジットで彼の存在が言及された際のオタクたちの喚起具合はエグいものでした笑
確実にIWにて、サノスとの闘いで彼が活躍することが予想されました。
そして、『GotG:リミックス』を一緒に観た友人は私に聞いたのです…。
友「アダムって次の敵かな…」
私「いや、原作だと味方になるんだよね」
友「そうなの?」
私「しかも、アベンジャーズと協力して、サノス倒すよ。」
友「マジ!?ネタバレじゃん!!」
私「次のインフィニティ・ウォーに絶対出るわ。誰が演じるんだろ。」
友「重要なキャラだもんなぁ…スライもGotGに出たし、シュワじゃね?」
私「あり得る…。マジでインフィニティ・ウォー楽しみだわぁ」
友「だなぁ…。」
結果、『アベンジャーズ:IW』には、アダムは登場しなかった。
その続編、『アベンジャーズ:エンドゲーム』でも然り。理由は、唐突なキャラクターが登場して、ラスボスを倒すような展開より、既存のキャラクターを掘り下げ、彼らにサノスを倒させるべきであるという判断からであるらしい。
非常に賢明な判断だ笑
ただ、私が友人に合わせる顔がなかったことは言うまでもないだろう。
3.ジャスティス・リーグ(2017年公開)
最後に紹介するのは、バットマン、ワンダーウーマンらDCコミックスのスーパーヒーローが集結した『ジャスティス・リーグ』。
スナイダー監督からウェドン監督への監督交代劇により、当初の構想とことなる形となり、興行的にも評価的にも失敗作と言われてしまっている。(私は個人的には公開当時興奮したし、割かし好きなのだが笑)
そして、そして…のちに『スナイダー・カット』という当初の構想に沿ったバージョンが公開されることで話題を再熱させた作品でもある。(約4時間という驚異の長尺w)
そんな今作は、MCU同様にポストクレジットを用意していた。しかもDCEUで初の2つ!!
1つ目はDCの最速番長フラッシュとオールマイティな超人スーパーマンがスピード競争をするという、コミックオマージュな1コマ。ウェドン監督版らしいコミカルなシーンでとても良かった。
2つ目は、DCEUの3作前の『バットマンvsスーパーマン : ジャスティスの誕生』にて、逮捕されたスーパーマンの宿敵レックス・ルーサーが脱獄し、クルーズ船でとあるヴィランと会話をし、ジャスティス・リーグに対抗する悪の同盟を組もうと話を持ち掛けるシーンだった。そのヴィランというのが、コミックやドラマ等でバットマンやその他ヒーローと戦った経験を持つ凄腕の傭兵"デスストローク"。二刀流の日本刀に全身アーマーを着込んだ見た目が非常にカッコいいキャラだ。
毎度の如く、友人は本作を鑑賞後に私に質問をした。
友「ラストやばくね?」
私「そうだな、次のジャスティス・リーグは善の同盟VS悪の同盟だな。」
友「ってか、デッドプールって中の人違かったけど、権利の関係?」
私「…。」
変なところ察しが良くて、察しが悪い。
実はデスストロークは、MARVELイチ人気のキャラ、デッドプールの元ネタなのだ。二刀流の日本刀を背負ってた傭兵で本名も非常に似ている。まぁデッドプールと間違ってもおかしくはない。
そして、このレックス・ルーサーとデスストロークの同盟の話も、本作が不作に終わったことにより消えてしまい、デスストロークがメインヴィランに予定されていたバットマンの単独作が消え、レックス・ルーサーも出番を失い、ジェシー・アイゼンバーグのハゲ損となってしまった。
色々な意味で、今観ると切なくなるポストクレジットだ。
今回は、非常に私的な駄話でした。
アメコミ系とかの映画を観にくと、ポストクレジットのサプライズが毎回楽しみなのですが、私は、原作などをあまり詳しくない友人たちのポストクレジットの反応を聞くのも楽しみにしています。
同じようにポストクレジットに関連した小話がある人がいたら色々聞いてみたいですね笑
以上、駄話でした。