《アメコミを読む#5》永遠の宿敵とゆく、奇妙な欧州旅行譚『バットマン : ヨーロッパ』
またコロナが少しずつ流行りはじめてきました。どうやら出国はできるようですが、日本に帰国は出来ないらしいです。海外旅行が出来るようになるのは、まだ先のことになりそうですかね…。
そんな今日この頃、優雅なヨーロッパ観光を味わうことが出来る(?)作品のお話をしたいと思います。『バットマン:ヨーロッパ』です!
この邦訳が出版されたタイミングは、ジョーカーが正気に戻り、ゴッサムの守護者となる『バットマン:ホワイトナイト』、バットマンの娘の疑惑がある少女をジョーカーが誘拐する『バットマン:ダーク・プリンス・チャーミング』など何かとジョーカーとのサシでの単独作が続いてました。
中でも今作は、同じ状況に置かれたバットマンとジョーカーが共闘を余儀なくされ、あらゆる土地を巡るという設定が面白く、惹かれました。
◆あらすじ◆
バットマンとジョーカー。決して相容れず、敵対していた二人。 そんな二人が、運命の悪戯か、共に謎のウイルスに感染した。 治療薬を手に入れるためには、お互いに手を取り合い進むしかない。 そして、薬を求めてヨーロッパを巡る奇妙な旅路の中で、二人はお互いの中に何かを見出していく…
ーーAmazon[内容紹介]引用
◆感想◆
今回のブログのタイトルに書いた“欧州旅行譚”っていうのはあながち言い過ぎではなくて、4章に別れていて各章ごとに違う土地に赴く。
ベルリン、プラハ、パリ、そしてローマ。章内では、バットマンがその土地の歴史や特色について説明をしてくれる。つまり、ちょっとしたガイドさん。
各話に特色もあります。
かつて高い壁によって分断されていたベルリンでは、バットマンとジョーカーという交わるはずのない2人が手を組む皮肉の聞いたスタート地点となる。
マリオネットの有名なチェコ プラハでは、木製の機械人形たちが襲いかかって来た後、巨大ロボまで襲ってきます。この人形を使う点から、まさかトイマン(スーパーマンの敵でオモチャ使い)か!!?って思いましたが、全然違いました笑
また、最後のパリへ向かって歩き始めたバットマンとジョーカー2人の後ろ姿は、名作映画『カサブランカ』のラストシーンのオマージュになっていました。ここで、ジョーカーがわざとらしく友情がどうのこうのと言うのが可愛いです。
パリの話は、ウイルスの進行度もあり、強烈な絵のタッチに変わります。この絵は完全に『バットマン:アーカム・アサイラム』のそれ。体調悪い日に見る夢のような不気味さ。おまけにジョーカーのファンたちも出てくるし。唐突に絵のタッチが変わるので、シリアスみが増します。
そして最後のローマでは、コロッセオにてこの事件の犯人が顔を出すわけですが、今作に限って知っているキャラが犯人だと思ってたので意外でしたw
しかも皮肉が効いているラストで、総合的にみても、バットマンとジョーカーの関係だからこそ、描けた作品だと思いました。
比較的短めなので、さっくり読める作品ではありますが、アートも相まって充実の内容だと思います。また、ジョーカーが好きな人、ジョーカーとバットマンの共闘が見たい人にはオススメかなと思います。
以上
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