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《成人男性、絵本をよむ》昨年話題になった絵本4冊を読んだ

子ども向けだと思って高を括っていると、予想以上に感化されたり、本質が見えていなかったなぁと思うことがあります。

実際、ここ最近そんな体験をした人間です。

最近、児童書の勉強をしています。子どもの頃、母がよく読んでくれた絵本、小学生になり父に買ってもらった文庫。思えば今の自分が形成されたのはあの頃の出会いや体験なんだなぁと最近ひしひしと感じています。

 

昨年12月に出ていた、絵本を扱う雑誌『MOE』の2022年2月号で、全国の絵本屋さん3000人に聞いた2021年絵本ランキング「第14回 MOE 絵本屋さん大賞2021」が発表されていました。

私も児童書を学んでいる身であるため、それなりに情報を張っていたのでワクワクしていましたが、やはり話題になっていた作品達が上位を占めていました。そして上位4冊に関しては、どれも私が前々から読んでみたかった作品だったので、購入して読んでみました。f:id:shikamarusan:20220112000355j:image

どれも予想通りというか、それを超えてくる素晴らしい作品ばかり…。

さして絵本に詳しいわけではない、いち成人男性が読んだ感想を少し書かせていただこうと思います。

 

①あんなに あんなに

f:id:shikamarusan:20220110233847j:imageこの作品、ホントに泣けます。タイトルの『あんなに あんなに』のとおり、お母さんの視点で、息子が行う行動言動で、「あんなに〇〇してたのに」→「もう〇〇だし」という流れが続いていくのです。

はじまりは、オモチャが欲しいとねだる息子。でもいざ買うとそのうち飽きて放り投げ。

「あんなに あんなに欲しがっていたのに…」

「もうこんな」(※散らかしたオモチャ)

こんな調子で描かれていく、母と息子のありふれた日常。そのお母さんの「あんなに あんなに」が愛おしい言葉になっていきます。

これをいま書いているだけで、思い出して苦しくなってしまいます…。絶妙なラインを刺してくるヨシタケシンスケさんのストーリーセンス。大人になった今だからこそ余計に胸を締めつける作品なのかもしれません。

www.poplar.co.jp


②たまごのはなし

f:id:shikamarusan:20220110233850j:imageシュールな絵が目を惹く一冊。ある日、目覚めて動くことにした たまごが、自分が思ったことに正直に色んなことをしてみるというお話。

起きてくれたマシュマロと共に、自由気ままに行動しているだけで、捻くれたことを言っているように見えるのですが、これが結構正しいことを言ってたりするんですよね笑

それぞれの価値観、“当たり前”とは何か、仕事に縛られるということ、争いの解決法、色んな人からの見え方など。

マシュマロはたまごに言います。

きみって ほんとに こまったたまごだよ。

きみみたいに へんてこなたまごって

なかなか いないだろうね

たぶん、彼は、みんな心の奥底で思ってたりする考えを正直に行なっているだけなんだけどね。

www.bronze.co.jp


③街どろぼう

f:id:shikamarusan:20220110233845j:image書店で見かけるたびにいつも気になっていた作品でした。

物語は、山の上にひとりで暮らす孤独な巨人が、寂しさから、ふもとの街から一軒家を持ってきてしまいます。

ここで一緒に暮らしてくれたら、なんでもあげます、という巨人に対して、その家のお父さんが『さびしいので、親戚の家も連れてきてください』と言ったことからはじまり、ついには巨人は街中の家々を盗んでしまうことに…。

孤独な存在である巨人の視点から、どんなに自分の周りを人で囲んでも、孤独を感じることはあるし、なんならその時の方が強く孤独を感じることがある…というお話を描いてると思います。

この感覚凄い分かる。大きな集まりに参加して、いっぱいの人と一緒にいるのに孤独に感じる瞬間。家で一人でボケーっとしているときの方がまだ孤独を孤独と思わなかったり。自分は、誰か気の合う友人や家族と話し込む時間が一番孤独を感じないかもしれない、、、。

www.fukuinkan.co.jp


④怪物園

f:id:shikamarusan:20220110233853j:image3つ目に紹介した『街どろぼう』と同じ、作家のjunaidaさんの作品。

表紙とタイトルからすでに惹かれます。

ある日、怪物園という生きた建物から、大量の怪物たちが逃げ出します。おかげで街は怪物だらけ。人々は家に逃げみます。とある3人の兄弟は、外で遊べないために、段ボール箱に乗って空想の旅に出かけます。ある時はバス、ある時は気球、船、潜水艦…子供たちは色々なところへ旅します。その間にも街は怪物たちが闊歩している。そして、子供たちの旅は怪物たちのもとに辿り着きます…。

私はこの作品は、子供たちがする空想の楽しさや独創性に注目している作品だと思います。作中の外で遊べない状況は、いま現在の自粛生活に近いものを感じます。私も子どもの頃は空想ばかりしている子で、自分の考えた世界の地図を書いてみたり、自分オリジナルの動物を描いたり、毎日何かを考えてました。

外に出づらい、いまだからこそゲームとかネットの動画ばかりじゃなくて空想世界を広げてみるいい機会なのかもしれません。

www.fukuinkan.co.jp

 

絵本は子どもが楽しむだけのもとのじゃなくて、ちゃんと大人も楽しめて、なおかつ子どもの頃じゃ不透明だったメッセージに大人になった今だからこそ気づけたりするのかもしれない、と思いました。

自分、まだまだ知らない世界がありそうです。

 

以上

 

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