日々、ちいさな世界の征服

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【映画感想】ラストに夜が染みつくラブストーリー『ちょっと思い出しただけ』

コロナウイルスによる自粛も相まって、ここ数年は新しい人と出会う機会やみんなでワイワイやるなんてことは激減してしまいました。

正直、私は社交的なんて言えるほどの人物ではないと思うので、素敵な出会いや素敵な出来事に巡り会う機会は元々そんなに多くないんです。

そんな私でも、ここ最近変わらない毎日を過ごしてる中で、何となく思い出す出来事があったりします。

そんな感覚を疑似体験させてくれる映画があります。先日観てきました、『ちょっと思い出しただけ』です。f:id:shikamarusan:20220319183841j:image題名からしてエモいですよね笑

今作は、『くれなずめ』などの松居大悟監督の最新作で、主演に池松壮亮伊藤沙莉という、いかにも良い映画を作ってくれそうなメンバーが揃っています。

 

◆あらすじ◆

2021年の7月26日。34歳の誕生日を迎えたテルオは、舞台の照明係として仕事に勤しむ。一方、タクシー運転手のヨウはコロナで客も減った夜の東京でミュージシャンを乗せる。ミュージシャンがもよおしたため、彼女は見覚えのある劇場で彼を下ろし、自分も劇場内の舞台上から聞こえるダンスの音に引き寄せられ、演舞が終わった後の舞台でひとり踊るテルオを見つける…。

そして、2020年、2019年、2018年…と過去の同日(テルオの誕生日)に巻き戻り、テルオとヨウの別れ、喧嘩、恋の始まり、出会いの瞬間など6年間の出来事をお互いに“ちょっと思い出して”いく…。

 

◆感想◆

結論から言いますと、自分の中の忘れられない一作になりました。大好きです。ここ最近、『花束みたいな恋をした』などのノスタルジックな気持ちになる作品が増えていると思っていましたが、今作はその要素のど真ん中にいながらも、違う魅力を十二分に魅せてくれました。
今作はあらすじにも書いた通り、男女が出会ってからの6年間を実際の時間の経過とは逆に進み、なおかつその年のある一日だけを切り取った作品になります。それによって、2人に今後待っている色んな悪い出来事を観客側は先に知れているので、この頃はこんなに微笑ましかったんだ!とホッコリさせられたり、不安になったりします。


そのおかげで、『この時期だから部屋はこうなっているのか』とか『コレはこのときに貰ったものか』とか『猫ちゃんがまだ子猫だった』とか発見の楽しさがあり、ストーリーをより深く楽しむことができます。


また、池松壮亮演じるテルオと伊藤沙莉演じるヨウちゃんの恋人時代や出会いのシーンのイチャイチャや甘酸っぱい描写にニヤニヤが止まらなくなりました。
正直、私は映画で映るカップルのイチャイチャがあまり好きではなく、いつも『自分は何を見せられているんだか…』と思ってしまったりします。感覚的には1人でいる時に駅で見かけるバカップルのイチャイチャを見せられているのに近いかも…笑
ですが、今作はそれがあまりない!いや、イチャイチャは見てられないくらい恥ずかしかったりするんですが、どーもニヤニヤが勝っちゃうんですよね…。


今作、引き込まれるシーンって結構あるんですが、私的に中でも1番だったのが、映画終盤の出会った頃の2人が深夜の高円寺ストリートを歩いて、ダンスをするシーン。
ここでなんとも言えない哀愁感に襲われました。
すごく素敵なシーンだと思います。
入場者特典でいただいたポストカードもこのシーンを切り取ったものでした!f:id:shikamarusan:20220321000953j:image
ラストの朝日が見えるシーンで、やっと何度も描かれた7月26日から27日に日が変わります。このシーンの朝日が切なくもあり、これからの人生への希望にも見えるのは自分もこんな朝日を昔見た気がするからなんですかね…。
f:id:shikamarusan:20220321001328j:image劇中と同じ時期に私が撮った高円寺ストリートの写真。個人的にも思い入れのある場所です。

とにかく、今年マイベスト入りほぼ確定の名作に出会ってしまいました。劇場公開はもう館数が少なくなってしまいましたが、多くの人に観てもらい、同じ感覚を共有したいと思ってしまいました。


以上