《回顧小話》ゾンビが来たらinシネマ
Netflixで配信されている韓国ドラマ『今、私たちの学校は…』が大人気です。“第2のイカゲーム”なんて言われてますよね。
かくいう私も絶賛大ハマり中でして、楽しみを絶やさぬようにゆっくり観ていて、いま7話まで観終えました。
高校を舞台にしたゾンビドラマで、校舎内に蔓延るゾンビたちから生徒たちが何とか逃げ抜こうとするのが毎話毎話ハラハラさせられます…。
思えば、私の学生時代は基本上の空で、空想ばかりしていて、“授業中にマフィアが突入してきたらどうしよう”とか、“全校集会中に体育館がテロリストに占拠されて、偶然トイレに行っていた自分だけがこの状況を打破できてしまったら”、とかとか、今思うと、
『何故、いち県立高校でそんな事件が起こるのだ』と考えてしまうような妄想ばかりをしていました。
それらの妄想の中には、もちろん“学園中がゾンビまみれになってしまったら”ということも入っていて、脱出経路、武器にする掃除用具、逃げ込む部屋、食料や災害用グッズなどまで考えていました。
その癖は高校を卒業しても変わらず、中学9年生(大学3年生)の私は映画館でアルバイトをしながらゾンビ対策を怠ってはおりませんでした。
平日のレイトショー。すでに入場の時間はとっくに過ぎて、殆どのスクリーンでは上映が終わり、スクリーン内の清掃やコンセッション(売店)の片付けなどのクローズ作業も着々と進める中、従業員も私を含めて3人くらいになると、他のお店の閉まったショッピングモール内で悲鳴が響き渡るのです。急いで映画館のある3階のエスカレーター前に躍り出ると、警備員を襲うゾンビたち。私は急いで、劇場のシャッターを下ろして、裏口も閉じに行きます…。
という、妄想をしていたのです。
なんて不毛なんでしょうか。
けれども実際問題、仮にゾンビが現れてしまってくれたとして(日本語がおかしいのは重々承知)、映画館(シネコン)というのは恰好の避難場所ではないだろうか。
まず第一に食べ物が大量にある。ポップコーンは大きい音を立ててしまうため、食料としては向いていないかも知れませんが、コンセッションには特大の冷蔵庫にポテトやホットドッグ用のソーセージやパン、ナゲット、ジュース、アイスが入っています。数人であれば、数十日は持つでしょう。
次に窓が少なく、隠れていることがバレにくい。映画館は大体ショッピングモールの端っこや真ん中での方にあっても入ると奥まった方に作られていることが多い。モール内のゾンビには見つかる心配が少ないのだ。
そして、ベッドなども用意できる。スクリーン内の椅子を壊して敷布団にしたり、ブランケットと重ねて掛け布団にすることで快適に睡眠が取れる。
最後に広く、また脱出ルートも用意されているということ。映画冒頭で避難ルートが提示される映画館もあるくらい、緊急時の避難口がいくつか用意されているのだ。万が一映画館が陥落し始めたとしても、広いため、どこかを犠牲にして、いくつかある脱出ルートに逃げることができます。
さぁいつでも来い、ゾンビたち!!
そんなことを思っている間に私は大学を卒業し、映画館でのアルバイト生活も終わりを迎えていました。
今でも自分の働いていた映画館に映画を観に行くことがあります。そしてハッと気づかされるのです。
この劇場、入り口側シャッター無いから多分メインホール陥落してすぐおしまいだな…
ゾンビ来なくてホントに良かった。
以上