日々、ちいさな世界の征服

ちいさな自分の“セカイ”を征服していく、シカのブログです。自分の趣味のこと、興味のあることを日々更新中。

《最近思うこと》エモさ重視の二次創作的な映画ばかりな映画業界

※『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のネタバレがあります。未鑑賞の方はご注意下さい。

 

先日公開されたスパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(以降、NWH)は、私の映画人生・アメコミ人生の中でも1番の衝撃、1番心揺さぶられたアメコミ映画でした。ですが、今作を観終わった数時間後に凄く不気味な感覚に襲われました。
“自分は何を観ていたんだろう”、“アレって映画として良かったのだろうか…”
こんなことがぐるぐると頭の中を駆け巡りました。


NWHは、2002年〜2007年のサム・ライミ監督のスパイダーマン・シリーズ2012年〜2014年のマーク・ウェブ監督のアメイジングスパイダーマンのシリーズのキャラクターと設定をふんだんに取り込んだ作品でした。前2シリーズを観ていた世代にはたまらないシーンがてんこ盛りで、終始興奮出来たと思います。
でも、ストーリーをよ〜く考えていると展開のほぼ全てが、前2シリーズを観ていた人への目配せと、今後のスパイダーマン作品含むMCUの世界観の拡大のためのご都合主義的でした。
前作スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(以降、FFH)のラストの展開から、制作サイドでは色々な企画会議が繰り広げられたかと思います。
しかし明らかに途中から、出したい要素を上げていってそれに合う形に脚本を作ることを意識していたと思います。それは以下のようなこと。


デアデビルを今後MCUに出したいので出す。
・2人のスパイダーマンを出したい。
・あの名言を出したい。
・コミック『ワン・モア・デイ』を下敷きに
 スパイダーマンの設定を軽くリセットしたい。
・ヴェノムをMCUに取り入れたい。
・過去スパイディと過去ヴィランの絡みを出したい。
・過去作のグウェンの死とゴブリンの死を組み込みたい。
マルチバースの要素を入れたい。


それゆえに主人公のピーターDr.ストレンジは本当に自業自得なことばかり、ヴィランたちは過去から来てるのに2人のピーターは歳を取ってる、ヴィランたちを治療して結果元のバースに戻ったら意味ないのではないか、ヴィランたちを捕まえなくてもあの箱は起動出来たんじゃないか、などなどスターウォーズ:最後のジェダイ並みの右往左往感。
観ている間も疑問符が頭をよぎっていたのは確かです。


でも、よくよく考えてみるとそんなのは今作に限ったことじゃなくて、ここ最近の映画業界の多くの作品がら抱えている問題のように思えます。
と言うのも、近年ハリウッド大作と呼ばれている作品のほとんどは以下のものに該当すると思います。


・過去にヒットした作品の続編
・過去にヒットした作品のリメイク、リブート
・過去にヒットした作品の序章やスピンオフ
・アメコミやアニメ作品などの原作がある作品


上記4つが多く占めている理由は3つあると思います。まず、MARVELおよびDisney作った、ユニバース作品やみんなが知っているアニメ作品の実写化が、必ずその固定のファン層+ある程度その人気や良さを知っている人を客として取り込めることが分かったからです。
どんなに有名な俳優を使っても、映画が好きな人以外はそんなに映画を観に来てはくれません。
だからこそ、元々の知名度やファン層で集客が望める作品が増えたのです。


また、原作があるものが起こす2つ目の利点として、ストーリーの考察が盛り上げてくれるという点です。原作のファンたちは、リメイクやスピンオフなどがどういった改変をしてくれるのか、どのように原作に繋がるのか、などを考えて、作品に対する期待度を高めて、ネット上で盛り上げたりしてくれるのです。もちろん、これによって製作側の作品を作るハードルは上がりますが、これも3つ目の点で補えます。


3つ目は、原作ありきでエモい展開が作りやすいからです。たかが1時間半や2時間の作品単体で、心を揺さぶったりするのは難しいことだと思います。だからこそ、名作は名作なのです。しかし、原作があるものは、原作の展開を裏切ったり、原作の要素を出すことでファンが待っていたものを提供することができるのです。
例えば、NWHでは、アンドリューのピーターが、『アメスパ2』時の恋人グウェンを救えなかったことが心の傷となっていると語り、映画終盤で同じ展開でMJを救出します。これ、アメスパ2を観ている人と観ていない人では感動の度合いが100 or 10くらい違うと思います。次に公開が予定されているMCU作品『Dr.ストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス』は、NWH以上に過去作(ファンタスティック・フォーX-メン)の要素をふんだんに使った作品になるのではないか、と噂が飛び交っています。


これらの作品作りの典型的な例としてスターウォーズ』ep.7〜9が挙げられると思います。企画が見切り発車で始まったのか、と思うほど作品ごとに右往左往する筋書き、昔のキャラが出てきては退場する展開、意味深だけど意味がないラストシーンなど。ep.7はファンメイドを観ているかのような気分でした…。
あんまり言うと7〜9好きな人に怒られそうなので辞めます…ただ個人的には残念でした。

 

このように、昨今のハリウッド大作映画は、全くの新作ではなく、二次創作(本当は一次創作の非公式の派生作品を指す言葉)的な作品の大量生産が主流になってきています。
そういう時代だ、と言ってしまえばそんなことなんですけど…。新しく惹きつけてくれるような映画作品、新シリーズが製作されることを楽しみにしてます。


以上

 

◆関連記事◆

shikamarusan.hatenadiary.com

shikamarusan.hatenadiary.com

shikamarusan.hatenadiary.com